Top >  オカルト >  魔女狩りの社会史

魔女狩りの社会史

私の友達に、過去世で魔女狩りの時に受けた精神的ダメージがカルマとなって、今生に引き継がれているという人がいるんです。ふうん、そんなこともあるのか…と聞いていたんですが、またまた別の人から「むかし、あんたとは魔女仲間で、一緒にワルサしたやんか」と言われまして、えーっそんなに魔女っていたのぉ?と不思議に思いつつも、単純なんで、そーなんやぁと鵜呑みにしていました。

 私が水晶好きなのも、超能力にひかれるのも過去世のなごりなのか…と考えつつ、古い記憶をたぐりよせようとするのですが、なんだかいまいちピンとこない。

 そもそも魔女って何さ?そんなに魔女流行りだったんかい?という素朴な疑問にはじまりまして、図書館で魔女についていろいろと調べてみました。一番おもしろかったのが、ノーマン・コーン著「魔女狩りの社会史 」(岩波書店)。それを読んで私が出した結論は、魔女なんか存在しなかった!

「大きな社会のただ中のどこかに、反社会的な嫌悪すべき習慣にふけっている秘められた小さな社会がある---この最初の妄想が、やがてヨーロッパで大規模な魔女狩りへとつながり…」

--------------------------------------------------------------------------------


【唐突ですが、魔女への知識を深めましょうコーナー】

Q1.魔女って、女性だけなんですか?
"witch"(魔法使い)は男性も含みます。しかし、魔女狩りの犠牲者のほとんどが女性でした。

Q2.魔女ってなんですか?
・魔女は人間です。悪魔と契約を結んで、悪魔の手下となった悪い人です。
・魔女は魔法を使うことができます。悪魔の力で人を殺したり、病気にしたり、不幸を与えることができます。
・魔女は生命エネルギーの補給のため、赤子を殺して食べることがあります。
・魔女は金曜日に開かれる集会(サバト)に出席するため、ほうきに乗って空を飛びます。

Q3.魔女は実在したのですか?
上記のような魔女のステレオタイプは、異端者を排除するためにキリスト教神学者たちに作られたイメージです。一部は13~14世紀 トマス・アクィナスによって、一部は教皇ヨハネス22世、一部は異端審問官の手引書で自分の考えを示したニコラス・エイメリックによって作りあげられました。

悪魔崇拝をする「魔女教」なるアンチ・キリスト教組織があったように信じられてきましたが、魔女裁判の裁判記録は拷問の末に強要された自白であり、当時の歴史書も捏造が多く、そのようなカルト教団が実在したかについて懐疑的な学者が多いようです。

Q4.魔女狩りはいつからはじまりましたか?
12世紀後半に、宗教的異端が広がったため、教会による異端を取締りを強化しはじめました。
「魔女狩り」の風潮の高まりは15世紀からで、17世紀までヨーロッパ各地で魔女裁判が行われました。
魔女狩りをあおった大きな原因の一つに、1486年に出版された『魔女に与える鉄槌』という魔女狩り人の手引書の影響が挙げられます。

Q5.魔女裁判とはどのようなものですか?
正式には、異端審問所で審問形式の訴訟手続に付されました。「魔女集会に参加した」、「魔術を行った」と告発されると逮捕され、自白を引き出すために拷問が使用されました。魔女の嫌疑で逮捕されれば、自白を拒否して拷問死するか、自白をもとに判決がくだされて火あぶりの刑にされるか、いずれも「死」を意味し、生きて放免されることはありませんでした。魔女狩りの犠牲者の数は正確に把握することは難しいとされていますが、数十万人とも言われています。

Q6.どんな人々が魔女として告発されましたか?
・50~70才のあいだの既婚女性か、未亡人。(魔女は老婆というのがステレオタイプ)
・魔女として処刑された人の娘。(魔女は遺伝すると考えられていた)
・精神病者、奇形、醜い風貌の女性。(魔女は奇怪な存在と考えられていた)
・民間医療に精通している女性、産婆、占い師。(「賢い女」は魔力を使えると思われた)

--------------------------------------------------------------------------------


とまあ、ここまで読んだ本の内容を基にまとめてみました。
悪魔崇拝、黒魔術、黒ミサを行う魔女というカルト集団がヨーロッパの裏社会で勢力を伸ばし、その異端者たちの取締まりから始まった「魔女狩り」がやがて罪もない女性をも巻き込んで多数の犠牲者を出した----と信じられてきましたが、実は魔女というカルト集団すら歴史的捏造だったということを明らかにするのが、この著者の意図ですが、私は深くナットクしちゃいましたね。

複雑怪奇な儀式で魔術を行うことを考え出したのも、もともとは教会内部でして、そのような秘儀を記した「魔術書」なるものに通じ、行っていた司教・修道士は異端審問で、破門・獄門にされています。しかし、彼らも決して悪魔に魂を売ったのではなく、良い精霊も悪い精霊もどちらも手先のように操るというのが、彼らの信じていたパワーでした。
魔術というのは、それを理解できる一部の宗教エリートが独占していた領域でした。

時代がくだり、神学者たちの空想・妄想の産物であった「魔女」のステレオタイプが、やがて一人歩きをしはじめ、異端を徹底的に排除するという宗教的熱狂が存在すらしない「魔女」への恐怖をあおり、教会という権威が神と法の名の下に罪もない女性を魔女として裁いた暗黒の時代が、ヨーロッパ各地で実に何百年も続いたのです。

科学の世紀に入っても、「魔女狩り」は姿を変えて連綿と続いています。ナチスのユダヤ人迫害、スターリンの粛清、毛沢東の文化大革命、ポル・ポト派による大量虐殺…
そして現在も世界のどこかで、あるいは身近なコミュニティの中で……(2004年9月1日)

         

オカルト

魔女、魔術、超常現象、心霊現象などなどオカルトを話題にしたエッセイ

関連エントリー

魔女狩りの社会史