ダライラマ法王講演会(1)
龍樹菩薩の『菩提心解説(チャンチュプ・セムデール)』
2005年4月16日・17日
仏の悟りに至る心としての菩提心に関する龍樹菩薩の解説について、ダライ・ラマ法王はこれまでチベットとヨーロッパでそれぞれ一回しかお説きになっていないそうです。そのような貴重な講演に足を運ぶご縁をいただくことができました。今回なぜこのテーマを選んだのかというと、龍樹(ナーガルジュナ)の『菩提心釈論』は小さい頃から暗唱させられ、親しんだ論であり、龍樹には6つの有名な論書があるが、『菩提心釈論』はそれらのエッセンスを非常にコンパクトにまとめたものであるからだそうです。「誰も苦しみの中で生きたいとは思っていない、幸せになりたい、苦しみを除きたいと思っている。だからこそ菩提心を起こして欲しい」という法王の熱意の伝わる講話となりました。
会場の大多数が仏教関係者だったので、とても高度な内容でした。仏教哲学の知識がゼロの私にとっては、用語がちんぷんかんぷんで、「くしゃろん?」、「せついっさいうぶ?」と、とても日本語とは思えない単語がぞろぞろ出てくるので、ノートに書き取っていても全然意味がわかっていませんでした。だから勉強のつもりで、講演ノートを編集して、少しずつサイトにアップしていくつもりです。録音は一切禁止だったので、私が書き取った内容にまちがいを見つけたら、訂正しますので教えてください。
仏教について
仏教には、小乗仏教、大乗仏教、密教があります。よりレベルの高い修行を積むのであれば、基本的な教えをしっかりと学ばなければなりません。小乗仏教にはすべての土台となる教えがあります。
そして仏教には、心の科学、哲学、修行としての仏教という三つのカテゴリがあります。仏教哲学のお話をさせていただくと、4つの大きな学派---有部派、経量部派、唯識派、中観派があります。(法王の後ろにある釈尊図を指して)、こちらが唯識派のアサンガ、こちらが中観派のナーガルジュナ(龍樹)です。二人ともナーランダ僧院から出た伝説的な学聖で、アサンガは釈尊が入滅して900年後、ナーガルジュナは400年後に生まれました。これからお話するのは、中観派の祖、ナーガルジュナが著した「菩提心釈論」についてです。