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ダライラマ法王講演会(5)

二つの障り (煩悩障と所知障)


1.
菩提心の顕現である
誉れ高き持金剛に礼拝し
輪廻を打ち砕く
菩提心の瞑想について説明しよう
(以下、青字は『菩提心釈論』本文。和訳: Maria Rinchen)

もののありようは「空」です。その深遠なる空を頭だけで理解するのではなく、直接体験して理解しなければなりません。

菩提心を起こしたいという熱望をもつだけではなく、実践を積んで空を体験し、空に心をなじませていかなければなりません。空に心をなじませることが、「空の瞑想」とよばれるものです。そうすることにより、一番微細なレベルの光明の心を活性化することができ、幻の体が現れてきます。

「輪廻を打ち砕く」とありますが、輪廻というものは、輪廻を生じさせる因と条件がそろった時に起こります。その主たる因は「煩悩」です。心の迷い、煩悩が鎮められれば、人は輪廻から抜け出すことができます。煩悩にとらわれると、人間の知性が正しく機能しなくなります。だからこそ、煩悩をなくすことを全身全霊でやらなければなりません。みなさん、休息を取る時にテレビを見たり、娯楽をするかもしれませんが、休息というのは本来、心を安らかにおだやかにするということです。今度から休息を取る時には、まず心をおだやかにすることを意識してみてください。五感の対象物に対する欲望の悪い影響をよく認識することで、疎なレベルの欲望や執着を鎮めることができます。

煩悩というものは、一時的に心を支配することがあっても、智恵の火によって燃やすことができます。光明の心(=ものを知ることができる清い心)は、火によっても燃えない衣にたとえることがありますが、煩悩という汚れが付着しても、智恵の火によって汚れの部分だけが燃えてなくなってしまいます。本来の光明の心は何をしても消えません。このように煩悩と切り離すことができるのです。

また『熱い水』のたとえですが、状況や条件で一時的に水が熱くなっただけで、水本来の性質は変わっていないように、煩悩によって一時的に変化しただけで、本来の性質を煩悩が変えるものではありません。

         

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